2013年10月02日

空間有美

 
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出会いというのは時にスリリングであり、気がつくと、昨日まで僕の中に、まったく存在していなかったモノの見方、感じ方の種を落としてくれることがある。

先日、昵懇にしていただいている画家と一緒に福島市内の「盆栽の阿部健一氏」宅へお邪魔してきた。僕は知らなかったが、福島は五葉松盆栽の世界的なメッカだったのだ。その礎を築いたのが阿部健一氏の父、故「阿部倉吉」氏であった。

実はこれまで僕は盆栽を、これほどマジマジと見たことがなかった。今回阿部氏の作品に接し、盆栽に対するイメージが一変した。この風貌はいったいいかにして創られたのだろうか?倉吉氏が、福島の吾妻山に自生する五葉松の風貌・・・厳しい自然の中で生きる五葉松の、究極までに無駄をそぎ落とした姿・・・から「空間有美」という言葉を導き出したことにはじまる。この言葉をベースにして、これまでにはない荒々しくも生命力の溢れる作風を生み出したのだった。「空間有美」とは枝や幹の空間から、いかに美を見出すか・・・空間には何もないのだが、そこに美を感じさせる・・・つまりは盆栽の存在感を高める崇高な「空間」を創ることが新しい盆栽表現であると倉吉氏は考えたのだ。

どのような表現であっても「間」というのは、大切なのだなと常々感じている。つまり、間が悪い、間抜け、間違い・・・などの言葉があるように「間」とは表現において、なくてはならない大切なファクターなのだ。

自然からは学ぶべきものが大いにある。自然の中で生きるすべてものが、本来もっていなければならない姿を認識し・・・それを我々人間は真摯に受け止め・・・生き方に反映すべきだと衆生なことを感じたのであった。

現在、阿部健一氏の息子さんが三代目として倉吉氏の遺志を受け継ぎ、新たな表現に挑戦しているとのこと。僕の中に落ちた種が芽を出すかどうかは判らないが、出会いの妙をいま改めて噛み締めている。
posted by 生出 at 23:31 | Comment(0) | 出逢いの妙
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