2013年05月09日

わたしを断罪せよ


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岡林信康の記念すべきデビューアルバム「わたしを断罪せよ」、1969年(昭和44年)のリリース。もちろん僕はリアルタイムでは聴いていない。このアルバムを意識したのはずっと後になってからのこと。具体的な年は忘れてしまったが、会津若松で岡林のライブがあって、偶然それを見たのがきっかけだった。すでに彼は「えんやとっと」だったので「フォークの神様」と崇める向きは会場にはいなかった。

このアルバムが発表されるや、岡林は若者の教祖的存在となった。新宿西口では週末になると7000人を超す若者が集まりフォークゲリラと称する一大ムーブメントが起こった。この時の音源が「古い船をいま動かせるのは古い水夫じゃないだろう」(拙ブログ2012年5月26日紹介)に収められている。「友よ」は若者達の心を捉え、あの時代の象徴として祭り上げられた。すなわち反体制、反安保などを叫び、日本を取り巻く現実、将来に憂いを持ち、左翼思想に傾倒するのが流行りであり、そんな彼らのインテリジェントな行動を精神的に支えていたのが「友よ」だったのだ。

  友よ

 友よ 夜明け前の闇の中で
 友よ 闘いの炎を燃やせ
 夜明けは近い 夜明けは近い
 友よ この闇の向こうには
 友よ 輝く明日がある

当時、僕も学生だったら、新宿西口へ馳せ参じたかもしれない(笑) このほか注目すべきは法的根拠も何もない、所謂「放送禁止歌」として有名な「手紙」もこのアルバムに収められている。

 
  手紙

 私の好きな みつるさんは
 おじいさんから お店をもらい
 二人一緒に暮らすんだと
 うれしそうに 話してたけど
 私と一緒になるのだったら
 お店を譲らないと言われたの
 お店を譲らないと言われたの

 私は彼の幸せのため
 身を引こうと思ってます
 二人 一緒になれないのなら
 死のうとまで彼は言った
 だから全てをあげたこと
 くやんではいない 別れても

 もしも差別がなかったら
 好きな人とお店がもてた
 部落に生まれたそのことの
 どこが悪い なにがちがう
 暗い手紙になりました
 だけど私は書きたかった

ほかに「三谷ブルース」「それで自由になったのかい」など初期岡林の代表作が入っていて、聴きどころ満載だと僕は思っている。それにしてもこのジャケットのイラスト、実に暗示的である。岡林の陰が十字架になっているしタッチも宗教色が強い。画面右下にNOVのサインがあるが、これは岡林自身が描いたのだろうか?
posted by 生出 at 22:04 | Comment(0) | 音楽
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