
高校生のとき、どうしても欲しいレンズがあった。それがこのAI Nikkor ED300mm F2.8IFであった。当時で40万円を超える値段だから、どんなに逆立ちをしても、バイトをしても、親に媚びても、何をしても手に入れることが出来ない高嶺の花だった。カメラ屋さんの店頭で見ることもほとんどなく、カタログの写真を見るのが関の山だった。
この個体を手に入れたのは、もう15年くらい前だろうか、馴染みにしていた福島市の川口屋写真店(いまはない)のショーウィンドーに飾られていたのを偶然目にし、思い切って清水の舞台から飛び降りたのだった。中古品で値段は10万円。時代はすでにオートフォーカスレンズへと移行しており、マニュアルフォーカスレンズの多くは市場へ吐き出され、まさに冷遇というのに相応しい扱いだった・・・いまの銀塩カメラと同じかも知れない・・・。
ながらく自宅待機が続いていたサンニッパであったが、撮影をデジカメに切り替えた時点で、使用頻度が俄然高くなった。いまや無くてはならない存在だ。基本設計は古いものの支障はまったくない。なんといっても2.8という開放F値は、ピンの山が掴みやすい。開放での撮影はピント合わせがデリケートではあるが、ギリピンではさすがの描写である。山野草の撮影では、中間チューブを装着すると、最短距離を稼げマクロ的な使い方も出来る。そのボケ味は何とも云えない。
何しろこのレンズを装着すると、カッコいいのが気に入っている(笑)