
さて、そういうわけで、オムライスを注文した。話は変わるが、僕が生まれて初めてオムライスを口にしたのは小学校5年のときであった。場所は宇都宮の上野デパート。元来外食をすることが、ほとんどなかった我が家であったが、あの日は母と買い物に出かけ久しぶりの外食に嬉々としていた。いざ注文する段になり迷いに迷い、オムライスと云う未知の食べ物を選択したのであった。正直、世の中にこんなに美味いものがあったのか!と感動したものだった。あの一口目の感動、感激はいまだに残っていて、あたごやさんに限らずオムライスを頼むときには、必ず上野デパートでの一件を思い出すのであった。
高度経済成長期まっただ中の日本であったが、まだまだ外食をすることは贅沢だと思われていたあの時代。そういえば二荒山神社の階段を上ったところに、決まって傷痍軍人の方々がいたことも思い出した。いま振り返ると戦争のキズが随所にリアリティをもって存在していた時代でもあった。
時間がどれだけ流れても、きっと僕はあたごやさんのオムライスを食べ続けることだろう。