2012年04月15日


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福島市花園町の旧ノートルダム修道院は、昭和10年に建てられた県内でも文化的価値の極めて高い建造物であった。ちょうど6年前、たまたま目にした新聞で修道院内が一般に公開されることを知った。普段であれば、そのままスルーするのだけど、何かが引っかかった。記事を読んだ翌日、僕は機材を担いで、修道院を訪れた。どこの馬の骨とも知れぬ一介の写真撮りが、突然「写真を撮影させてほしい」と無礼千万なお願いをしたにもかかわらず居合わせたシスターは、しばし僕の顔を見つめ「どうぞ」と撮影を快諾してくださった。
 
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修道院の空気は、ひんやりしていた。
撮影を乞うたものの、僕は萎縮してしまい撮影は散々であった。とくに誰かに見られていた訳でもなく、比較的自由に、制約もほとんどなくカメラもセッティングできたのだが、その場の空気にすっかりのまれてしまっていたのだ。撮影の間も数人の方が、神に祈りを捧げていた。どのようなことを祈っていらっしゃるのか知る由もないのだが、僕はその一途で清楚な姿に打ちのめされてしまった。

あれから6年が経ち、この場所は更地になってしまった。東日本大震災で建物は大きな被害を受け、修復には多額な費用がかかるため、取り壊さざるを得ない、ということだった。

最近、取り壊しの経緯をあるマスコミの報道を通じて知ったのだが、それは単に修復に費用がかかるために断念したというものではなかった。

修道院長の言葉が心に響く。「震災後、支援してくださる方から『募金活動をすればお金は工面できる』とも言っていただいたが、これだけ東北全体が痛めつけられたなかで、この建物のためにお金が使われるよりも、その分、多くの被災者の方々に支援が届くことの方が大切。今後は子どもたちの教育のために予算を使おうと決断しました」。
posted by 生出 at 22:16 | Comment(0) | その他
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