2012年03月16日

In my own time


 karen-dalton-u.jpg

彼女の歌を聴くと切なく、悲しくなる。
彼女の曲に泣くのではなくて、彼女の数奇な運命を知ってしまったが故に泣きたくなるのだ。曲はもちろんいいのだけど・・・。

カレン・ダルトン(Karen Dalton)、60年代はじめからN.Yのグリニッジヴィレッジで歌い始める。ボブ・ディランをして「当時もっとも気に入ったのが彼女だ」と言わしめた。哀愁ただようハスキーボイスはビリー・ボリデーのようだとも云われている。「In my own time」は彼女にとって2枚目のアルバム。このアルバム発表(71年)の後、忽然と姿を消し、二度とシーンに戻ることはなかった。

長い時を経て、93年3月N.Yで死去。ホームレス同様の生活だったと伝えられている。酒とドラッグにおぼれた生活が続いた果ての結末であるが、彼女ほどの実力者が光を見ることなく、この世から消えてしまったことが残念でならない。
一説によると、彼女は人前に出ることを極端に恥ずかしがる繊細な性格だったとか。したがって自分を売り込むとか、脚光を浴びる術とか、アーティストとして活きていく、シタタカさのようなものは持ち合わせてはいなかった。

「In my own time」・・・「わたし自身の時間の中で・・・」。彼女の人生の行く末を、まるで暗示するかのようなタイトルだ。結局彼女は、自分の心を人に触れさせることもなく、他の誰かと時間を共有することもなく死んでいった。すべての問題が彼女自身の時間の中で進み、そして終わった。自分の寂しさを、どう見つめていたのだろう。そんな彼女の境遇に思いを馳せながら、このアルバムを聴くと泣けてくるのだ。
posted by 生出 at 20:12 | Comment(0) | 音楽
この記事へのコメント
コメントを書く
お名前: [必須入力]

メールアドレス:

ホームページアドレス:

コメント: [必須入力]