2012年03月15日

BORN TO RUN


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あれは80年のいつごろだったろうか・・・。蒸し暑い夜だったことは覚えている。したたか酔っていた。神田川を横目で見ながら、右にふらふら、左にふらふら・・・。終電に間に合わずYasui先輩のぼろアパート(失礼)に転がり込んだ。四畳半の部屋は意外に整理整頓されていて、パイオニアのステレオが、やけに光って見えた。
「なかなかいいステレオですね」とお世辞を言ったのが運の尽き。
「いま、いちばん気に入っているのを聴かせてやる」と一枚のLPを取り出した。
それがブルース・スプリングスティーンの「BORN TO RUN」(邦題は明日なき暴走)だった。すぐにでも寝たかったのだけど・・・。

しかし全8曲、一気に聴いた。そしてもう一度。また聴きたい。何度でも聴きたい。そんな気持ちにさせてくれたアルバム。

翌朝、ブルース・スプリングスティーンのことは記憶から欠落していた。それから2〜3年経ったある日、仙台のレコード店で、このアルバムと再会した。アーティスト名もろくに覚えていなかったがジャケ写が記憶の扉を開いてくれた。
グルーブ感はさすがだ。ハスキーな叫びは鳥肌が立つほど。

このアルバムがリリースされた75年といえばアメリカがベトナムから撤退した年である。泥沼の闘いと云われたこの戦争に、ようやく終止符が打たれた。アメリカにとって初めての敗戦。多くの若者が傷つき死んでいった。

    BORN TO RUN 

  I'll love you with all the madness in my soul
 (お前を愛すだろう、俺の魂のすべての狂気をもって)
  Someday girl I don't know when
 (いつの日か、いつだかわからないが)
  we're gonna get to that place
 (俺たちは、俺たちが本当に望んでいる)
  Where we really want to go
 (あの場所に到達するだろう)
  and we'll walk in the sun
 (陽のあたる場所を歩くだろう)
  But till then tramps like us
 (でもそのときまで、俺たちのような根無し草は)
  baby we were born to run
 (走るために生まれてきたんだ)

限りない不安、迷い、焦燥。いつの時代だって若者は悩み苦しむ。わけもなく走らずにいられない。走ることに意味があるのか、それすらもわからない。でもとにかく走り続けるのだ。
長い時間が過ぎ、気がつくと両足は大地をしっかり掴んでいる。目指していたところとは違うかもしれないが、いまの自分の居場所に少しでも納得するその日まで走るのだ。そのとき、そう、ほんの少しだけ後ろを振り向いてみよう。でも人生のゴールはそこではない。さらに前へ進まなければならない。前へ進む限り青春は続くのだ。
posted by 生出 at 22:05 | Comment(0) | 音楽
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