山深い村々を「寒村」と呼んだ時代があった。檜枝岐村の「六地蔵」は、その象徴である。
農林水産省のサイトで檜枝岐村の農林水産業の基本指標を見てみると、いかに農業に適していないかがわかる。山々に囲まれたこの土地で田畑を作ることが、そもそも難しかったのは、この地を訪れてみれば理解できる。
いまは尾瀬のお膝元として多くの観光客が訪れる。村内の家々の佇まいに昔の寒村のイメージを探す方がむずかしい。むしろ「寒村」というイメージは村のPR材料のひとつとなのかもしれない。
ハイシーズンともなれば、県内外から多くの車が行き来する。凶作のために間引きされた赤ん坊の供養のために建立された六地蔵。嬉々として六地蔵にカメラを向ける観光客を、どんな思いで見ているのだろう。