多くの人に愛されている「テネシー・ワルツ」は1948年、カントリー歌手のレッド・スチュワート(作詞)とピー・ウィ・キング(作曲)による共作であった。2年後の1950年にパティ・ペイジが歌い大ヒット、累計売上げ枚数は600万枚に達した。
多くの歌手がカバーしているが「テネシー・ワルツ」といえばパティ・ペイジの曲といってもいいだろう。
彼女は1927年生まれ。本名はクララ・アン・ファーラー、オクラホマ州の出身。ハイスクール時代、ラジオ放送局でアルバイトをしていた彼女に転機が訪れる。たまたま出演予定だった歌手が急病で倒れ、ピンチヒッターで起用されたのが、この世界へ入るきっかけになったと言うから、人生はわからない。
このベスト盤のいちばん初めの曲は、もちろん「テネシー・ワルツ」である。収録曲は20曲。「マック・ザ・ナイフ」「枯葉」「ルート66」「嘘は罪」などなど。どの曲も耳馴染みのあるスタンダードナンバー。古い曲は1910年代(19番目のテイク「レット・ミー・ゴー・ラヴァー」)に作られたというから、人々の心に響く楽曲というのは、そう容易く消えるものではない。
流行り廃りは世の常ではあるが、時の流れに耐えうるものは何なのか・・・それを見極める感覚を自分自身が持っているだろうか・・・そんなことを考えながら彼女の歌声を聴くと、曲の魅力が心に沁みてくるのである。