1990年にリリースされたマイケル・ヘッジスのアルバム「TAPROOT」は実験的な・・・と形容されることが多い。マイケルの卓越したギター奏法は、いまさら云うまでもないが、このアルバムではギター以外の楽器、フルート、パーカッション、ベース、キーボードなどもマイケルが演奏している。ギターサウンドが前面に出ていないため、通常イメージするギターインストとは曲想が異なり、やや前衛的なイメージを受けた。彼が音楽表現の幅を広げる上で、こだわりをもったであろうことは間違いないが、アルバムタイトルの「TAPROOT」(主根)のとおり、彼の音楽表現のテイストを十分に感じさせてくれる重要なアルバムである。
巨木の幹といっしょに写るマイケルの満足した表情から、このアルバムの完成度の高さが伺い知れる。同時に、物悲しさを感じてしまうのは、もう彼が二度と再び新しい曲を創れないという事実に気がついてしまったからだ。