2016年12月28日

ニコレックスF


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日本光学工業株式会社(現ニコン)が、はじめて世に問うた廉価版一眼レフが「ニコフレックスF」だ。1962年に販売開始された。圧倒的な存在感を持つ「F」に対して、大衆向けカメラのなかった日本光学工業株式会社が、マミヤへOEM生産を依頼したとの通説がある。したがって品質はニコンのそれではない。なんとなく野暮ったいボディデザインは、金属プレスの甘さから来るものだろうか?間延びしているというか、ゆるいというか・・・。Fと比べるのは気の毒だが、プロがサブカメラとして使うにしても、ためらうほど各所の作りに甘さがある。

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シャッターはコパル社製の縦走りで、羽根に「Copal Square」の文字がこれ見よがしに印字されている。フィルム交換時以外、この文字を見ることはまずないわけで、デザイン的なアクセントを意識したのだろうか?

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ペンタ部分の「F」の文字は何故か恥ずかしく、そして浮いたように見えるのは、僕の気のせいだろうか?外付け式の露出計を取り付けるガイドもスマートさに欠ける。フィルムの巻き上げレバーは、デザイン的な配慮はまったくされていない。まるで棒のようだ。唯一ニコンらしいのは、伝統のFマウントを装着している・・・ところだけだろうか。

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図らずも駄目出しのオンパレードになってしまった。しかし廉価版と言っても焦点距離5センチメートル、開放F値2の標準レンズ付きで、当時39800円という価格だ。ちなみに「F・アイレベルファインダー付」は5センチメートル、開放F値1.4の標準レンズ付きが68500円だった。大卒初任給が18000円の時代であるからして、ニコフレックスFだって決して安い買い物ではなかった。一眼レフを持つことなど、おいそれとは叶わなかったあの時代、なけなしの貯金をはたいて購入した人もいたことだろう。そういう人にとって、首から提げた「ニコフレックスF」は宝物だったろうし、羨望のまなざしを向けられたことは間違いない。当時の宣伝を見ると、販売の意気込みはかなり高かったのだろう。しかし販売台数は伸び悩み、商業的には決して成功したカメラではなかった。真のサブカメラとして1967年に登場した「ニコマートFT」が後継機種と云う向きもあるが、系譜としては傍流と位置付けたほうがいいかもしれない。
posted by 生出 at 22:15 | Comment(0) | フィルムカメラ
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