2016年03月03日

オリンパス・ワイド


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上部の丸い大きな二つのダイヤル、そしてファインダー、採光窓、エプロン部の四角、ボディも角っぽい・・・デザイン的には実にシンプルで愛嬌のある「オリンパス・ワイド」、昭和30年に発売された。

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昭和30年と云うとトヨペットクラウン、ソニーのトランジスタラジオが販売を開始した年である。国家公務員の大卒初任給が9千円弱(人事院資料)の時代、 オリンパス・ワイドは1万7千円近くもする高級カメラであった。車、電化製品、カメラ・・・少しずつではあるが、国民生活の中に「いつかは◯◯◯を手に入 れたい」と夢を描けるような時代に入ってきた。

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ライカ、ニコンなどのレンズ交換式高級カメラは別として、一般コンシューマー向けのカメラには焦点距離50ミリが固定されているものが多かった。なので35ミリ付きのこのカメラ、爆発的に売れたのだという(オリンパスのサイトより)。焦点距離35ミリはまぎれもなく広角レンズのカテゴリーに入るのだけれど、いまの感覚で35ミリレンズを「ワイド」と呼ぶには、いささかオーバーに感じるわけだが、そこは時代である。

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さて、いうまでもなくこのカメラに電池は必要ない。露出、ピント合わせ、フィルム巻上げ、巻き戻し・・・すべてが撮影者の判断にゆだねられる。ファインダーを覗いても距離計が内蔵されていないので目測で決める。フォーカシングリングの2メートルと5メートルは赤文字になっていてクリックストップする。スナップ撮影では咄嗟の判断が求められるわけだが、きっとオリンパス・ワイド使いの達人ともなると、露出もそうだろうけど、辻斬りの如くパッパッと合わせることが出来たことだろう(実際そういう人がいたかどうかは不明だけど・・・)。愛嬌のあるデザインではあるが、使いこなすにはそれなりのスキルが求められるカメラである。

露出もピントもオートという概念の無い時代、カメラの操作を身体に覚えこませる鍛錬は・・・程度の差はあれ・・・誰もが通らなければならない道であった。 ときには頭を三角や四角にすることもあっただろう。でも納得のいく写真が撮れたとき、きっとワイド使いのカメラマン達は満面の笑みを浮かべて、このカメラを撫でまわしたに違いない。
posted by 生出 at 07:32 | Comment(0) | フィルムカメラ
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