2015年12月15日

昨日の思い出に別れをつげるんだもの


 dylun2.jpg

1972年に発表されたザ・ディランUのファーストアルバム。このアルバムタイトルはブログで幾度か紹介したが、ようやくのお披露目となった。ジャケット写真は冬枯れした風景写真が使われていて、どことなく「つげ義春」の描く世界に通じるものを感じた。

「ぷかぷか(みなみの不演不唱)」、ボブ・ディラン作詞作曲の「I Shall be Relesed」を日本語歌詞で唄う「男らしいってわかるかい」「サーカスにはピエロが」などが聴きどころ。

     「サーカスにはピエロが」

    僕は今 両足を抱きかかえ この峠の上にすわってる
    
    この道を最初に来た 君といっしょに旅に出るために
    
    サーカスにはピエロが つきものなのさ
    
    だっていつも君が 笑っているとは限らないもの
    
    サーカスにはピエロが つきものなのさ
    
    だってきのうの思い出に別れを告げるんだもの
    
         
    くるくるまわる回転木馬に きのうの苦しみがしばりつけられて
    
    流れていくよあなた体から わずらわしい思い出といっしょに
    
    サーカスにはピエロが つきものなのさ・・・


ピエロが出てきた瞬間、日常の時空は非日常のそれになる。おどけて人を笑わすのがピエロ。だけど仮面の下の顔はうかがい知れない。目の前に現れたピエロは、もしかしたら鏡に映った自分自身なのかもしれない。

悲しみや苦しみを隠すためには、サーカスに限らずピエロが必要なのだ。

話は替わるが「ピエロ」といえば僕はシャガールの作品を連想する。シャガールがこんなことを言っていた。「私にとって絵を描くことは、食べることより大切なこと。絵画は私にとって窓のようなもの。その窓から、私は別の世界に飛び立つのだ」。

ザ・ディランUの曲に非日常的な世界観を感じるのは、言葉が放つ微妙なニュアンスに触発され、不覚にも自分自身の本当の素顔(心)を鏡で見てしまった、そんな錯覚をしてしまうからかもしれない。鏡から目をそらすか、それとも凝視できるか・・・つまりは「君の窓から」出ておいで・・・ということ。

     「君の窓から」

   君の窓から出ておいで 何にもない街だけど

   二人だけでもいいから 夜が明けるまで踊ろう

   二人だけのパレードにゃ 夜更けの街がお似合いさ

   君の名前覚えているよ 冬子っていうんだろう

   貴族達のサロンでは 時計の針も止まり
   
   乾いた笑いがあふれているけれど

   死にたいなんて いわないで 夜明けのバスに
  
   飛び乗ろう みんなが待っている

   昨日の海へ行くんだよ

  
   君がいま捨てるのは 15の時に教えられた
 
   家の中で泣いている娘が 良い子って云う例え話

   年老いた門番は 今夜もベッドに横たわり

   古い絆で君を 君を引き止めるけど

   君の窓から出ておいで 恐いことなんてないんだよ

   太陽とともに消えてしまった 昨日の海を見つければ
posted by 生出 at 08:34 | Comment(0) | 音楽
この記事へのコメント
コメントを書く
お名前: [必須入力]

メールアドレス:

ホームページアドレス:

コメント: [必須入力]