2015年09月24日

ファーストロール


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これまでにいろんなカメラを触ってきてが、実際手にしたカメラの中で年代的に一番古いのがこのカメラだ。1933年発売の「ファーストロール」である。製作は後のペトリこと栗林写真機械制作所で、販売は皆川商店が行なった。1933年(昭和8年)といえば僕の父が2歳で、母はまだ産まれていない。遠い遠いむかしである。

1933年の主な出来事として・・・日本が国際連盟を脱退、ヒトラーが政権獲得、三陸沖大地震、アメリカで禁酒法が廃止・・・などなど盛りだくさんである。歴史教科書で近代史の項を見るようである。そんな時代のカメラ(というより写真機と云ったほうがいいか)が目の前に存在していることがなんとも不思議である。

工場から出荷され、販売店に並び、それを見た誰かが購入し、そして時を経ていま僕の目の前にあるのである。これまでいったいどれほどの人間の人生とかかわってきたのだろう?そしてどんな写真が撮られたのだろう?興味は尽きない。

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当時この種のカメラはハンドカメラと呼ばれていた。明治40年代から昭和10年代まではこのスタイルが主流であったという。誰もが気軽に写真を撮影できる時代でもなく、とうぜんカメラも高価であった。

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このカメラ、ベッド部にユーザーが作成した独自のメモリが貼付けられている。それなりに使い込まれたのかもしれない。折り畳んで収納する皮ケースのやれ具合からもそれがうかがえる。

それにしても大した風格を持ったカメラである。創造力(妄想力)のある方なら、きっとこのカメラに触発されて、ちょっとしたドラマや小説くらいは創ってしまうかもしれない。チャレンジされてはいかがですか?

posted by 生出 at 08:18 | Comment(0) | フィルムカメラ
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