2014年11月27日

Ja-Bossa


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もうひとり気になるミュージシャンがいる。タクシー・サウダージ(本名は公開されていない)は、前出の濱口祐自同様、還暦を目前にメジャーデビューしたボサノバミュージシャン。『Ja-Bossa』は今年6月にリリースされたばかり。埼玉県秩父市在住のタクシードライバーで、たまたま乗り合わせた秩父在住のミュージシャン(笹久保 伸)と知り合いになったのがきっかけでこのアルバムが誕生したという。

濱口祐自は「奇跡の・・・」で、タクシー・サウダージは「60歳で発見されたボサノバミュージシャン」である。まるで新種の生物を見つけたかのようであるが、きっとそれだけ衝撃が強かったのだろう。

10代の頃から日本を放浪すること20年、ボサノバにのめりこみブラジルへ。さらにインドへも。40の時に故郷秩父に戻りタクシードライバーに。「ミュージシャンになる気はなかったけど、音楽はずっと聞いていたし、ギターも弾いていた」という。

ジョアン・ジルベルトに傾倒し、耳を研ぎ澄ませてギターの腕を磨いた。彼の特筆すべきところは、すでに知られている名曲に自作の日本語歌詞を乗せたところにある。ともすると原曲のイメージが強すぎて不自然になりがちだ。しかし彼独特の低音・・・単なる低音ではなく、人生の機微のあれやこれやが混ざりあい発酵し、ついには熟成の域に達した、そう、人生という名の「味噌」と云おう、そんな成熟した味噌を持った者が出せる歌声・・・が、これ以上ないくらいサウダージ(郷愁)で、さらに熟練のギターが加わり深いコクを醸す。

聴く者は自分の人生の黄昏を意識する。それは悲しいことや寂しいことではなく、人生とは美しいものであることに気づく瞬間でもあるのだ。終わりがあるから美しいのである。

タクシー・サウダージのように、あなたの人生もさらに熟成してほしいし、熟成したあなたの人生は、ほかの誰かの人生を熟成させるだろうし、さらに別な誰かの・・・そんなことがずっと未来まで続いていけばいいなぁって、つくづく思う。

※タクシー・サウダージも11月30日(日)、朝9時からの「題名のない音楽界」に出演します。
posted by 生出 at 22:28 | Comment(0) | 音楽
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