山都町(現・ 喜多方市)の「ほがらか食堂」も訪れるのは20年ぶりくらいかもしれない。創業は昭和27年7月7日、だから今年で68年になる。店はお父さんとお母さん、もう一人ちょっと高齢の女性の3人で切り盛りしている。店の前のカブはお父さんが出前で使う。場所はJR山都駅のちょっと先、踏切の手前のカーブのところにある。駐車場は駅寄りの道路右側で5〜6台は停められたか。
昼時になると、出前注文の電話が数本はいる。来店するお客も12時を境に意外なほど多い。山都町といえば蕎麦処で有名だが、もしかしたらお店の創業時は、蕎麦屋を営む店は少なかったのかもしれない。実際のところは不明。
店内はテーブルが4つ。立派な神棚と数枚の写真、その中にはお父さんが旅行へ行った時のものもある。混雑時、お父さんは、少々ピリピリすることもあるようだが、本来は店名の由来通り「ほがらか」なのだろうと・・・。
メニューはご覧の通りの品揃えである。初回はカツ丼、二回目はチャーシューメンを頼む。
カツ丼は、いい意味で田舎料理っぽくて好きである。通常、ソースカツ丼に敷かれている千切りキャベツが煮込みカツ丼にも敷かれている。この店のオリジナリティを感じるのである。チャーシューメンも懐かしさいっぱいである。ラーメン専門店、特に腕組みをして「どうだ!」という体で写真に写る店主とのこだわりとは別物だ。
むかし出前を頼むのも、外食するのも贅沢といわれた時代、家庭では出せないお店独自の味、それを味わうだけで幸せだった・・・という経験を持つ方ならわかってくれるだろう?
いまさらいうことでもないが、お店もメニューも選択肢は多岐にわたる。それはそれで幸せなことなんだろうけど、僕個人としては、あの時代の、今から思えば「ささやかな満足感」を味わうだけで幸せなのである。