なんともレトロな外観の食堂を見つけた。場所は南相馬市原町区東町。いつもとは違った道を走ってみようと、やや細い道を適当に走っていて出逢った店である。
手作り感100%の看板には「正しい食べ方で正確な食品で豊かな生活の店」「健康は食べ方と食品によって保たれています」のコピーが添えられている。きっとこだわりの店なのだろうということで暖簾をくぐる。店の左手奥にお母さんが、どっかと腰掛けていている。なんとなくその存在感に惹かれ、隣の席に座ってしまった。
メニューも手書き。残念ながらカツ丼は無かった。「お勧めは?」と訊ねると、お母さん(御歳80半ばくらい?)が「ショウガ焼!」と歯切れのいい声で答える。「じゃーそれで」と注文する。厨房にはお父さん(やはり80半ば)がスタンバっている。
注文が出来上がるまでの間、お母さんは積極的に且つ一方的に話を始める。孫のこと、店のこと、健康のこと・・・話が途切れない。お年寄りは話し好きな人が多いようだが、きっとお母さんは話し相手もあまりいないのかなぁ〜と想像しながら、申し訳ないが話半分で聞いていた。
15分くらいして出てきたのが下の写真である。
肉の量も多いが、圧巻なのが野菜の量である。トマトはほぼ一個を使っている。手作りの漬け物も半端無い。正直、採算が取れるのかと心配してしまう。
食べ終えて、そろそろ席を立とうとした、そのとき、厨房からお父さんが出てきてお母さんの隣りに座る。そして・・・お母さん、いやそれ以上に話しをはじめたのである。こちらは満腹感に身体が支配されているので、またまた話半分である。お父さんも健康のこと食材のこと食べ方のことをレクチャーしはじめた。たいていお母さんが饒舌だとお父さんは寡黙なことが多いようだが、こちらのご夫婦は二人とも饒舌。
ふたりから言葉のマシンガンを浴びせられたようであった。もし文字に起こしたら、いったい何文字くらいになっただろう。
相手がノっている時、タイミングを見計らい相手に失礼にならないよう、いかに席を立つか、これはなかなか難しい(笑) ほんの数秒、お父さんの話が途切れた瞬間を逃すこと無く、ようやく解放されたのであった。
車を走らせながら思った。クセになる店だな・・・と。そうそうショウガ焼定食、美味でした。