1965年に発売された「コニカAUTOREX」、いちばんの特徴は・・・35ミリ判フルサイズ(24ミリ×36ミリ)と、ハーフサイズ(18ミリ×24ミリ)のニ種類のフォーマット切り替えが可能なところにあった。それぞれのサイズを一本のフィルムに混在できるという夢のようなカメラである。

フォーマットの切り替えはレバーによって行なう。フルからハーフはフィルムを巻上げてからレバーを切り替え、ハーフからフルはレバーを切り替えてから巻上げるというお約束事があった。「ハーフ」にすると左右からフルサイズをトリミングするような遮光板が現れる。これは後年、パノラマサイズ切り替えにも活かされた技術かもしれない。結局は上下、あるいは左右をマスキングしただけ・・・ではあるが・・・。

しかし当時、機能としては優れものであると称賛だけはされたようだ。あの時代、フィルム現像代、プリント代がいくらだったか具体的には覚えていないが、いまのようなお手軽価格ではなかった。
何本もフィルムを消費するより、一本のフィルムで出来るだけ多く撮影したいと思うのは一般庶民の極めて自然な発想だった。すでにハーフ判専用のカメラは出ていたのだが、コニカとしてはフルサイズの画質を求めるユーザーと、ハーフサイズを求めるユーザーの両方を丸抱えしたかった・・・のだろう。ちょっと欲張りな企画だったかもしれない。はたしてメーカーとして成功したのかどうかはわからない。
メーカーアナウンスによると「世界初のEEカメラ」とある。レンズの最小絞り値の脇に「EE」の表示がある。絞りリングを「EE」にセットすれば、シャッタースピード優先の自動露出カメラとなる。ちなみにEEとはElectric Eyeの略。この時代はAE(Automatic Exposure)という表記より、こちらのほうが多かったように記憶している。「EE」に時代の最先端を行く響きを、なんとなく感じたものだ。