
ボブ・ディランのデビューアルバムがこれ、「Bob Dylan」である。1962年春にリリースされた。僕はまだ1歳にもなっていない。当時の日本では、まだボブ・ディランの名は知られておらず、したがってラジオから流れることもなかっただろう。母の胸に抱かれながら僕が耳にする可能性も当然なかったはずだ。そんな時代の曲を、いまこうやって聴けるのは、その後のディランの曲が時代を経て、世の多くの人に指示されたことにほかならないからだ。消える星と消えない星とさまざまな星があるが、ボブ・ディランという星は人類が滅亡さえしなければ、これからも永遠に輝き続けるのだ。
さて、ディランの名が一躍注目されたのはセカンドアルバム「FREE WHEELIN'(フリーホイーリン)」に収録された名曲「 Blowin' In The Wind(風に吹かれて)」からだ。デビューアルバムは全13曲のうちオリジナルは2曲(Talkin' New York とSong To Woody)のみで、あとはすべてカバー曲。曲の内容というよりは、そのスタイル・・・ギター一本での弾き語り・・・の方が注目されたようだ。セールス的にはふるわなかったらしい。
それにしても初々しい表情のディランである。今年でディランも73歳。2年前にはデビュー50周年を記念したアルバム「TEMPEST」が発表されている。こちらも機会を見て聴いてみようと思っている。