
熊井博基の「変わらないもの」。2010年リリース、彼のファーストアルバム。ちなみに84年生まれだから、いま28才。
このアルバムを一言で云えば憂いを伴った疾走感とでも云おうか。全5曲はリードギター、サイドギター、ベース、ドラムスというシンプルな構成。ストレートに彼のメッセージが心に届くアルバム。
〜Quiet Soul〜
どこまでもついてくる鈍く輝く星を
打ち砕こうとしても手すらも届かない
まとわりつく流れを変えようとあがいても
水の重さに沈むばかりだ
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どこまでおいかけても触れないあの虹へ
無数の足跡が虚しく残る
あなたに触れられるのなら
もうそれでいいよ
青春時代、誰もがセンシティブな感覚に囚われてしまい、出口を見失うどころか、進むべき道すら見いだせず、流れて行く時間を横目で見るのが精一杯。いや、もっと冷めた目で見ているのか・・・それは僕にはわからない。
高校時代、不登校を経験している。いじめにあったわけでもなく、とにかく独りでいたかった、という。自分の意志を相手に伝える便利なツールである言葉も、時に人を傷つける武器になる。自分も傷つきたくないし、人も傷つけたくない。だから寡黙になるのだ。寡黙な人間ほど言葉には敏感だし、そして傷つきやすい。言葉の裏にあるほんとうの意味を感覚的に直感的に感じるられるから、彼は音に言葉を乗せてメッセージを伝える方法を選んだ。