2012年07月28日

変わらないもの


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熊井博基の「変わらないもの」。2010年リリース、彼のファーストアルバム。ちなみに84年生まれだから、いま28才。
このアルバムを一言で云えば憂いを伴った疾走感とでも云おうか。全5曲はリードギター、サイドギター、ベース、ドラムスというシンプルな構成。ストレートに彼のメッセージが心に届くアルバム。

 〜Quiet Soul〜

 どこまでもついてくる鈍く輝く星を
 打ち砕こうとしても手すらも届かない
 まとわりつく流れを変えようとあがいても
 水の重さに沈むばかりだ
    ・
    ・
    ・
 どこまでおいかけても触れないあの虹へ
 無数の足跡が虚しく残る
 あなたに触れられるのなら
 もうそれでいいよ

青春時代、誰もがセンシティブな感覚に囚われてしまい、出口を見失うどころか、進むべき道すら見いだせず、流れて行く時間を横目で見るのが精一杯。いや、もっと冷めた目で見ているのか・・・それは僕にはわからない。

高校時代、不登校を経験している。いじめにあったわけでもなく、とにかく独りでいたかった、という。自分の意志を相手に伝える便利なツールである言葉も、時に人を傷つける武器になる。自分も傷つきたくないし、人も傷つけたくない。だから寡黙になるのだ。寡黙な人間ほど言葉には敏感だし、そして傷つきやすい。言葉の裏にあるほんとうの意味を感覚的に直感的に感じるられるから、彼は音に言葉を乗せてメッセージを伝える方法を選んだ。
posted by 生出 at 23:57 | Comment(0) | 音楽

2012年07月26日

街の風になって

 
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なぎら健壱のセカンドアルバム「街の風になって」である。'74のリリース。案外フォーク歌手だということを知らない人もいるようで・・・。若い人などは、単なるスケベでのんべぇのおやじと映っているようだ。しかし唄わせると、人情味のある甘い歌声で人の心を、ググッととつかむ。哀愁の帯びた詩情あふれる歌詞、メロディにホロッとさせられることもある。もちろんそうでない曲もあるけどね。
高田渡、佐久間順平がフラットマンドリンで参加をしている。

 〜街の風になって〜

 思い出も何もなくなって
 僕は街の風になって

 街から街をひゅーひゅーと
 昔の友の心を抜ける

 それで僕の思い出が
 また かえればと思うから 
 
写真、自転車、落語、飲酒、がらくたの収集など多趣味であると同時にそれぞれに造詣が深く、いまやテレビ、ラジオ、新聞、週刊誌などなど、メディアに引っ張りダコのなぎらくんである。近々新譜が出るような噂を小耳に挟んだ。さてどんななぎらワールドを聞かせてくれるのだろうか。いまから楽しみである。
posted by 生出 at 22:45 | Comment(2) | 音楽

2012年07月21日

復活

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先月下旬に入院し、過日無事退院したL/C77。さっそく山形、栃木などに繰り出し車中泊も3〜4回しただろうか。
前輪のハブは新品に交換されていた。長く乗れば故障はつきものであるが、治ってくると、ますます愛着がわいてくるというものだ。もはや僕の身体の一部と云っても過言ではない。

70系の国内生産が終了してから、早8年が経過した。海外では販売が続いているものの、国内では販売の気配すらない。

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これが現在オーストラリアで販売されている70である。逆輸入すれば購入は可能であるが(たしか700万くらいだったか?)、さすがに高すぎる。なんとかならないものなのか。過剰すぎるほどの安全装置を搭載した国産車にはない道具としての資質にはホレボレする。TOYOTAさん、受注生産でもいいから、国内での販売をぜひお願いしますよ。無理ですかぁ〜。
posted by 生出 at 22:36 | Comment(0) | クルマ

2012年07月19日

hobo

 
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このジャケットを見て「佐々木幸男」の名前がすぐに出てきたのなら、きっと貴方はあの時代、コッキーポップを視ていたに違いない(そうでしょ?)。

77年リリースの「hobo(ほーぼー)」、佐々木幸男のファーストアルバムである。ハスキーボイスで、尚且つおしゃれなサウンドは、いま聴いても全く古さを感じない。ながらく再販が望まれていたが、’01年、ヤマハ・アーティストのファーストアルバムシリーズとしてようやくCD化された。

僕自身、このアルバムの中で知っていたのは「君は風」と「一日がこんな風に過ぎて行くのなら」だけだったのだけど、このアルバムだけは何としても手元に置いておきたかった。とくに「君は風」で描かれた風景に、(当時の)僕は強いあこがれをもっていた。

 君の髪が風の中で 流れていった
 流れ髪の君は とてもすてきです
 そういうと 君はくすっと笑い
 君の好きな"ユーフー”を飲み干す

 熱い 熱いお茶を飲み
 ポツリ ポツリ
 話しかける君は
 君は風

当時、密かに想いをよせていた彼女と、こんな時間を過ごすことが出来ればいいなぁ〜などと、この曲を聴くたびに思ったものだった。その数年後、彼女が交通事故で亡くなったことを知るのだが、いまこの曲を聴きながら、風になってしまった彼女のことを思い出すと、なんとも切ない気持ちになるのである。
posted by 生出 at 23:51 | Comment(0) | 音楽

2012年07月17日

本格冷やし中華?

 
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連日、猛暑が続く日本列島である。食欲もいまひとつ。しかし喰わねば、明日につながらない。7月に入ってから冷やし中華を作った回数は5回くらいだろうか。今月は三日に一度は食べていることになる。ブログに登場するのは4月以来であるが、実はあれから15回以上は口にしていたのであった。もしかしたら冷やし中華が大好物なのかもしれないなぁ〜、と今更ながらに気がついた自分であった。
posted by 生出 at 21:26 | Comment(0) | 男の料理

2012年07月09日

銅版画展

 
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明日7月10日(火)〜7月28日(土)まで珈琲舎雅において阿部有里子さんの銅版画展が開催されます。
平日は12時〜19時まで、祝日は12時〜午後19時まで、最終日は10時から17時までです。
なお日曜日は定休日です。
お問い合わせは珈琲舎雅(電話024−536−8688)までお願いいたします。
posted by 生出 at 23:04 | Comment(0) | 馴染みの店

2012年07月08日

夕暮れ時・・・パート2

 
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・・・店内に入り、まず目に入ったのが柱にかけられた時計だった。カチ、カチ、カチ・・・とゆっくりとしたリズムを規則正しく刻んでいる。かすかに流れるBGMは誰の曲だろう。妙に振り子のリズムと同調している。

カチ、カチ、カチ・・・まるで私の動揺した気持ちを落ち着かせるようなリズムの振り子。ふいに「ご注文は?」と訊かれ、慌ててテーブルに置かれたメニューを手に取る。革の表紙が貼られたお手製のメニューは年季が入っていて、ページはめくり上がり、珈琲のページは、とくに汚れがひどかった。

「え〜と・・・ブレンドを・・・」「はい、かしこまりました」と注文を聞くや、マスターは手際よく豆を挽き、珈琲を淹れ始める。お湯を注ぐと、これまで以上に珈琲の香りが店内を満たした。時計は相変わらずカチ、カチ、カチと、愚直なまでに時を進める。

間の持たない私は、何気なくテーブルに置いてあった本のページをめくる。

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適当に開いたページから飛び込んで来た詩に釘付けになる。

 だから 本気で 抱きしめたのさ
 きのうの風があしたに向かう時
 小さな雨が おもいで消してく

私は過去を振り返らない、そして未来を夢見ない、今という時間だけを見つめると決意した。でも、今この時間が辛い。今は瞬時に過去になるけれど、すぐに新しい今が私を襲う。今、今、今・・・連続する今はけっして私からは離れない。カチ、カチ、カチという音が、今、今、今と私に、まるで呪文のようにかぶさってくる。

つらい、つらい、つらい・・・つらい今を塗りつぶす術があるのなら教えてほしい。生きている以上、今という時間からは逃げられない事実に胸が締め付けられる。きっとそんなことはは判っていたのだが、私は敢えて自分の心をシートで覆い、そのシートの表面を見つめていたのだ。心を覆っていたシートが、もろくも剥がされていくのがわかる。まるで強風に煽られたように、あっけなく剥がされ、赤裸々な私の気持ちが目の前に現れた。

「おまたせしました」と、やや唐突に珈琲が出される。「えっ、あっ、ありがとうございます」と戸惑いの返事をしてカップを口に運ぶ。酸味のきいた珈琲が沁みる。

気がつくと、いつの間にかマスターは隣のテーブルの席に座り、ギターを弾き始める。
「ごめんなさい。実はライブが近いもので、ちょっと練習をしてもいいですか」

「え、え〜どうぞ」と私。

偶然なのか、それとも私が開いていたページをマスターが見たのかは定かではないけれど、マスターが唄い始めたのが、正にこのページの曲「この唄」(作詞・作曲下田逸朗)だった。

 時間だけ流れていくの
 こわいことさ
 だから この唄 あなたにあげるよ

マスター、あなたは私の心が見えるのですか?

三文小説家は、そろそろ引っ込んだ方がいいようで。続きは、たぶんないでしょう(笑)
posted by 生出 at 23:37 | Comment(3) | 馴染みの店

2012年07月07日

三階建ての詩

 
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かぐや姫、4枚目のアルバム「三階建ての詩」、74年3月リリース。四畳半フォークのピークとも云える「赤ちょうちん」はこのアルバムで聴ける。

こうせつの「人生は流行(はやり)ステップ」「うちのお父さん」、正やんの「22才の別れ」「なごり雪」、パンダの「君がよければ」「こもれ陽」など、三人の個性がいちばん出ているアルバムだと思っている。このアルバムでかぐや姫の人気は不動のものになった。

当時のギター少年が一番に憧れたのは「22才の別れ」であって、コードはすぐにわかったものの、通常のチューニングでは、オリジナルの音が出せない。その理由がまったくわからなかった。かなり後になって、ナッシュビルチューニングを知ることとなるのであるが、それまでの道のりは、ほんとうに長かった。プロの音造りのこだわりを垣間見た思いだった。やっぱり石川鷹彦さんはすごいなぁ〜と。
posted by 生出 at 22:38 | Comment(0) | 音楽

2012年07月04日

夕暮れ時

 
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夕暮れ時、蔵の建ち並ぶ喜多方をぶらりと歩く。時計を見ると6時半は過ぎている。この時間になると、鬱陶しいくらい闊歩していた観光客も引け、町は静けさが支配しつつあった。

そろそろ宿に戻らなければと思いながらも、ある蔵造りの喫茶店の前で足を止めてしまった。どっしりとした蔵の扉は開け放たれ、暖簾が風に揺れていた。中から聞こえてきたのはアコースティックギターをつま弾く音。そして甘く切ない唄声。曲名はわからないけれど、人を惹きつけるやさしい歌詞の断片が暖簾越しにこぼれてくる。私は、しばし耳を澄まして聞き入っていた。

曲が終わるとマスターとおぼしき男性が「どうぞ、中へお入りになりませんか」と声をかけてきた。一瞬「えっ」と戸惑いつつも、足はごく自然に店の中へと進んでしまった。店内に他に客はなく私の貸し切りだった。

「さぁ、どうぞ」と店の中央のテーブルを案内されたが、出入り口に近い席の椅子を引く。店内は薄暗い照明。タバコと珈琲の入り混ざった香りが漂い、きっと多くのひとがこの香りに懐かしさと切なさを覚えながら、自分の人生を振り返る、そんな感慨にふけるのだろうと想像した・・・。私は人生を振り返る行為に臆病になっていたし、かと云って明るい未来を望むほどウブな気持ちも既に持ち合わせてはいなかった・・・。ただひたすら今この時間を見つめることに執着していた。

と、写真を撮りながら「うつわ」を舞台にした小説を書くとしたら、こんな書き出しかな、と勝手に想像していたのであった。三文小説家にもなれやしない(笑)
posted by 生出 at 22:45 | Comment(2) | 馴染みの店