17世紀半ばに作られた会津五街道(米沢、越後、二本松、白河、下野)は、現在の会津若松市大町四つ角を起点で各方面へ放射状に伸びていた。そのひとつ、白河街道沿いに鮮やかな青い暖簾が風に揺れているのを僕は見逃さなかった。現在の住所だと滝沢町、かつて八幡神社の大鳥居があった場所から数十メートル東側に「盛ちゃん食堂」はある。
一見して歴史ある店であることがわかる。かつてはいくつかの店舗が営業していたのだろうが、今や盛ちゃん食堂以外は店を閉じ、居住者もいないようだ。
暖簾をくぐり店内に入ると、やや広めのテーブルがひとつ、椅子は5脚で店内スペースをフルに使っている感じ。奥の茶の間は、お客さんがいない時、店主のお父さん(82歳)とお母さん(年齢は聞いていない)がテレビを見ながら寛いでいるのである。
お父さんによると開業して半世紀とちょっとなのだという。営業は出前が中心でピーク時は「600件もあっただよ」とお父さんが言っていた。この数字は一月で、ということなのだろうが、なかなかの数字である。多少は盛っているかもしれない。盛ちゃんだけに・・・(笑)。
メニュー表は入り口右側の壁面にひとつひとつ短冊に書かれている。品数は、それなりである。初訪問ではお約束の煮込みカツ丼を頼んだのだが「今日は出来ない」とのこと。気を取り直して麺類はどうか訊いてみると「ごめんなさい」という。「今日できるのはチャーハンだけです」と申し訳なさそうに云う。無理強いしても始まらないので、それで行くことにする。
やや水分の多いご飯だったが、味は僕好みであった。大きめにカットしたピーマンがポイントだろうか。
2回目の訪問で、煮込みカツ丼を注文することができた。ご覧のように煮込んだ玉ねぎがカツの上に乗っている。なかなかに奇抜なトッピングである。
3回目はチャーシューメンにする。なかなかに厚みのあるチャーシューである。スープの味は、今風の人気店とは異なり尖ってはいない。丸みを帯びた優しい味は、きっと長年培ってきた集大成といってもいいのだろう。
さて初訪問以来、10回ほど訪れたので、おいおいこちらでご報告していきたいと思う。今回はこのへんで。